「ゴールを設定しましょう」と言われたとき、どんなイメージを持ちますか?手帳に目標を書く、年収の数字を決める、5年後の自分を描く——そういうことを思い浮かべる方が多いかもしれませんね。
でも苫米地式コーチングにおけるゴール設定は、それとはまったく異なります。一言で言うなら、「自分が生きる世界そのものを選び直す行為」です。
ゴール設定とは「生きる世界を切り替えること」
苫米地式コーチングでは、ゴールを設定することを「今いる世界(W1)から、理想の世界(W2)へと人生の行き先を切り替えること」と捉えます。
大事なのは順番です。「自分が変わってからゴールを目指す」のではなく、「先にゴール(世界)を設定することで、その世界にふさわしい自分へと自動的に変わっていく」のです。
これが普通の目標設定と根本的に違うところ。目標は「達成するもの」ですが、コーチングのゴールは「そこに生きるもの」です。
ゴール設定の3つの鉄則
コーチングのゴールが機能するためには、3つの条件があります。
① 現状の外側であること
「今の自分では、達成方法がまったく想像もつかない」——そのくらい遠いところに設定する必要があります。「年収を少し上げる」「資格を取る」「課長になる」は現状の延長線上であり、コーチング的には「予定」に過ぎません。
方法が見えていることには、脳はクリエイティブに動きません。達成方法が見えないほど遠くにゴールを置いて初めて、脳のホメオスタシスが本気で働き始め、スコトーマが外れて新しい解決策が見えてきます。
② 心から望むもの(Want to)であること
誰に止められても、親に反対されても、それでも追い求めたいと感じるもの。義務感や世間体、他人からの評価のためではなく、理屈抜きで自分が望むものであることが必要です。
多くの人は親や社会から受け取った価値観を「自分の本音」だと思い込んでいます。「これは本当に自分が望んでいることか?」を丁寧に問い直すことが大切です。
③ 人生のあらゆる分野に設定し、利他性を持つこと
仕事だけがゴールではありません。職業、お金、家族、健康、趣味、社会貢献、学び——人生の各分野にバランスよくゴールを設定することで、全体として豊かな人生が動き始めます。
そしてゴールは、自分だけの利益(利己)よりも、社会や他者への貢献(利他)を含むほど、現状の自我から抜け出しやすくなります。「世界中の誰かを幸せにしたい」という視点を持つと、ゴールに向かうエネルギーがぐっと変わります。
実践:ゴール設定のステップ
ステップ1:妄想から始める
今の能力、貯金、状況は一切無視して「もし何でも叶うならどうなっていたいか?」を自由に想像してみてください。過去の実績は未来とは一切関係ありません。わからなくていい、叶うかどうかは気にしなくていい——そこからスタートです。
ステップ2:臨場感を高める(アファメーション)
設定したゴールの世界に、すでに自分がいるようなリアリティ(臨場感)を脳に植え付けていきます。「私は〜している」という現在進行形の肯定的な文章(アファメーション)を、感情を込めて毎日読み上げたりイメージしたりすることで、脳はゴールの世界を「正常な状態」として認識し始めます。
すると今の現状の方が「おかしい」と感じ始め、脳が自動的に現状を変えようと動き出します。
ステップ3:誰にも言わない
設定したゴールは、プロのコーチ以外には話さないことが鉄則です。親や友人が善意で「無理だよ」「現実を見て」と言ってくることで、エフィカシー(自己評価)が下がってしまうからです。これをコーチングではドリームキラーと呼びます。
正しいゴール設定が「脳の自動操縦」をオンにする
ゴールを正しく設定すると、今の現状に対して「これはおかしい」という違和感が生まれてきます。財布の中に小銭しかないことが、本来の自分にとっておかしい状態に感じられてくる——そんなイメージです。
その違和感を解消しようと、脳のホメオスタシスがフル稼働し始めます。昨日まで見えていなかったチャンスや出会い、アイデアが目に入るようになり、自動的にゴールへと向かっていく。これがコーチングにおけるゴール設定の本当の力です。
努力して頑張るよりも、正しくゴールを設定する方が、ずっと大きな変化を生み出せる。そんなふうに感じていただけたら、嬉しいです。
