オーセンティック・コーチング2026 ~本物のコーチング~ 苫米地 英人 (著) によると、コーチングの時間が30分の理由は、「クライアントが本気で自問自答できる時間は、実際には数分も持たないから」です。30分という時間は短いどころか、「自問自答の時間としては長すぎるくらい」であるとされています。
具体的な理由は以下の3点に集約されます。
1. 「おしゃべり」や「相談」の時間ではないから
コーチング・セッションは、カウンセリングのように悩みを聞いて寄り添ったり、コンサルティングのようにアドバイスをしたりする時間ではありません。
- アドバイスの禁止: コーチがアドバイスをすると、クライアントがコーチの言葉に影響を受けてしまい、コーチのスコトーマ(盲点)や限界をクライアントに植え付けることになります。
- コンテンツへの不干渉: ゴールの中身(コンテンツ)について考えるのはクライアント自身であり、コーチはそこに一切関与してはいけないルールがあります。
2. 人間の「自問自答」の限界
セッション中、クライアントに求められるのは、ゴールに向かって徹底的に自問自答することです。しかし、この集中力は長く続きません。
- 5分も持たない: コーチの前でクライアントが真剣に沈黙して自問自答できる時間は、実際には5分と持ちません。
- 1分で話し出す: ほとんどの人は、沈黙に耐えられず1分もしないうちに何かを話し始めてしまいます。
- したがって、実質的な思考時間としては30分あれば十分すぎるほどなのです。
3. コーチの役割は「話すこと」ではないから
セッション中、コーチが何をしているかというと、アドバイスではなく「エフィカシー(自己能力の自己評価)を上げること」です。
- 話す必要がない: クライアントのエフィカシーが上がっていれば、コーチは無理に話す必要がありません。むしろ、クライアントの自問自答を邪魔しないように黙って見守るべきです。
- 口を開くタイミング: コーチが口を開くのは、クライアントが自問自答の結果を話した時だけです。その内容が「現状の外側にあるか」をチェックし、必要であればバランスホイールへの落とし込みを促すためだけに発言します。
つまり、30分という時間は、無駄なおしゃべりを排除し、クライアントの脳をフル回転させて未来のゴール(可能世界W2)に集中させるために最適化された長さなのです。
