苫米地式コーチングとは「並列宇宙(可能世界)(W1) から、別の並列宇宙(可能世界)(W2) への移行を促す行為」であり、「現状の外側にゴールを設定し、エフィカシーを上げるマインドの使い方の技術」です。
苫米地式コーチングは、ルー・タイス氏(世界的に著名なコーチングの第一人者であり、フォーチュン500企業やオリンピック代表のメンタルトレーナーとして活躍した人物)が構築したコーチング理論を基盤に、世界的な脳科学者である苫米地英人博士が独自に発展させたメソッドです。
博士が長年の脳科学・認知科学の研究から導き出した実効的な技術を統合し、21世紀の人類のために体系化した、次世代型のパーソナルコーチングです。
以下にその本質を3つのレイヤーで解説します。
1. 形式的定義:自我ではなく「世界」を変える技術
最も重要な点は、コーチングが「自分(自我)を変えること」を目的にしていないということです。
- 世界 (W) の移行: コーチングの目的は、現状の世界 (W1) から、心から望むゴールの世界 (W2) へと「世界(ワールド)」を丸ごと移行させることです。
- 自我 (p) の自動的な書き換え: 自我とは「宇宙を入力として自分を出力する関数」であり、その世界内での重要性を評価する関数 (p) です。多くの指導は「自我(考え方)を変えれば世界が変わる」と考えますが、苫米地式コーチングは逆です。「世界 (W) を変えれば、その結果として自我 (p) は自然に書き換わる」と考えます。
- 自我への不介入: したがって、直接的に「性格を変えましょう」「この株を買いましょう」といった自我関数 ($p$) やコンテンツ(内容)に関与する行為は、ニセモノのコーチングと定義されます。
2. 機能的メカニズム:ホメオスタシスのハッキング
コーチングは、人間の脳と心(マインド)に備わるホメオスタシス(恒常性維持機能)を利用して、ゴール達成を自動化します。
- 情報空間への作用: ホメオスタシスは物理的身体だけでなく、情報空間(想像の世界)にも働きます(例:映画を見て泣く)。
- コンフォートゾーンの移動: コーチングでは、未来のゴール (W2) の臨場感を高めることで、脳にとっての「安心できる場所(コンフォートゾーン)」を「今」W2 にずらしてしまいます。
- 自動化された達成: 一度 W2 がコンフォートゾーンになれば、現状 ($W_1$) に留まることが居心地悪くなり、ホメオスタシスが勝手に W2 へ向かうように身体と脳を動かし始めます。
- スコトーマ(盲点)の排除: 現状の中では重要でないものは見えません(スコトーマ)。ゴールを現状の外に設定することで、これまで見えなかった達成方法が見えるようになります。
3. 実践的役割:利他性とエフィカシー
実践において、コーチングは「現状の外」に出るための具体的な戦略を提供します。
- 利他性(抽象度)の必要性: 現状の外側に出るための強力なツールが「利他性」です。自分中心の欲望(利己性)は現状のコンフォートゾーンに縛られがちですが、「他人のため、社会のため」という視点(高い抽象度)を持つと、自分の自我関数から離れることができ、スコトーマが外れて現状の外のゴールが見えやすくなります。
- エフィカシーの構築: エフィカシーとは「ゴール達成能力の自己評価」であり、現状 (W1) からゴール (W2) というパラレルワールド間をジャンプするためのエネルギーです。コーチの中心的な作業は、このエフィカシー関数(Efficacy(W1)→W2)を作ることです。
- コーチは「アウェイ戦」の味方: 現状の外に出ることは、慣れ親しんだホームを離れ、アウェイで戦うことを意味します。そのため、クライアントは強い不安を感じたり、周囲(ドリームキラー)から反対されたりします。コーチは、その不安を「順調である証拠」として肯定し、クライアントがくじけそうな時に唯一の絶対的な味方として支える存在です。
結論
改めて、コーチングとは以下のように要約されます。
それは、クライアントが「現状の外側にある、心からやりたい(Want to)かつ利他的なゴール」を設定し、その世界こそが本来の自分であるという「エフィカシー」を高めることで、脳のホメオスタシスを味方につけ、自動的に人生(世界)を書き換えていく技術です。
