苫米地式コーチングにおいて、ドリームキラーとドリームサポーターは、ゴール達成の成否を分けるとても大切な概念です。
これらは単なる「敵・味方」という人間関係の話ではなく、脳の機能(ホメオスタシス)が人間関係を通じてどう現れるかという科学的なメカニズムに基づいています。
1. ドリームキラー(夢を壊す人)
ドリームキラーとは、あなたが現状の外側にゴールを設定した際に、「そんなことは無理だ」「現実を見ろ」「あなたらしくない」と言って、エフィカシー(ゴール達成能力の自己評価)を下げてくる存在のことです。
正体は「身近な善人」
ドリームキラーの正体は、悪意を持った敵ではなく、多くの場合、親、パートナー、学校の先生、友人、上司といった「あなたのことを大切に思っている身近な人たち」です。 彼らは悪意で足を引っ張るのではなく、「失敗したら可哀想だ」「食べていける保証はない」といった「善意」や「心配(親切心)」から反対してきます。だからこそ、説得が難しく厄介な存在となります。
なぜ生まれるのか?(ホメオスタシスの反撃)
あなたが現状(コンフォートゾーン)から飛び出そうとすると、周囲の人は無意識にそれを察知し、「元のあなた(現状)」に戻そうとする力(ホメオスタシス)が働きます。
- 居心地の悪さ: あなたが変わると、周囲の人にとっても「慣れ親しんだあなた」がいなくなり、彼らのコンフォートゾーンが乱されます。その不快感を解消するために、無意識にあなたを元の状態に引き戻そうと攻撃(反対)してくるのです。
- 過去の評価: 彼らはあなたの「過去の実績」や「現状」しか見ていません。「今までの成績では無理だ」と過去のデータに基づいて判断するため、未来の可能性を否定します。
唯一の対処法:ゴールは誰にも言わない
ドリームキラーへの対処法は、「ゴールを誰にも言わない(秘密にする)」ことです。 反論したり説得しようとしたりしてはいけません。言わなければ否定されることもなく、エフィカシーを下げられるリスクを回避できます。
自分自身が最大のドリームキラーになることも
他人のドリームキラー以上に対処が難しい厄介な存在になり得ます。
自分自身がドリームキラー化してしまう現象には、明確なメカニズムと名前があります。それは「クリエイティブ・アボイダンス(創造的回避)」と「ネガティブなセルフトーク」です。
1. 脳が全力で言い訳を創造する「クリエイティブ・アボイダンス」
あなたが現状の外側にゴールを設定した瞬間、脳のホメオスタシス(現状維持機能)は「変化」を「異常事態」とみなし、元の場所(現状)に引き戻そうとします。
この時、脳は無意識のうちに「やらないほうがいい理由」や「できない理由」をものすごく創造的(クリエイティブ)に考え出します。これをクリエイティブ・アボイダンス(創造的回避)と呼びます。
- 自分ドリームキラーの声の例:
- 「今は時期が悪い(景気が、タイミングが)」
- 「まだ準備不足だ。もっと勉強してからにしよう」
- 「これをやると家族に迷惑がかかるかもしれない」
- 「体調が万全じゃない」
- 特徴: これらの言い訳は、一見すると「もっともらしい論理的な理由」に見えます。普段はクリエイティブではない人でも、現状に留まるための言い訳作りに関しては天才的な能力を発揮します。これが自分自身によるドリームキラー行為です。
2. 「セルフトーク」が自己評価を下げる
私たちは頭の中で常に自分自身と会話をしています(内省言語)。これをセルフトークと呼びます。 失敗した時や不安な時に、無意識にネガティブな言葉を自分に投げかけることで、自分で自分のエフィカシー(自己評価)を下げてしまいます。
- ネガティブな書き込み: 「しまった、失敗した」「やっぱり私には無理だった」「どうしよう」といった言葉を心の中でつぶやくと、それが自己イメージとして定着し、ドリームキラーとして機能します。
- 過去の記憶の強化: 過去の失敗体験を何度も思い出し、「自分はこういう人間だ」と再確認することは、過去の自分(現状)を強化することになり、未来への変化を阻害します。
3. 自分ドリームキラーへの対処法
自分がドリームキラーになってしまっていると気づいた場合、以下の3つの方法で対処します。
① 言い訳が出たら「ホメオスタシスが正常に動いている」と喜ぶ
「忙しいからできない」「お金がないから無理」といった言い訳(クリエイティブ・アボイダンス)が思い浮かんだら、それは**「ゴールが現状の外側に正しく設定できている証拠」**です。 現状の中にいればホメオスタシスは反応しません。言い訳が出てくるということは、あなたがコンフォートゾーンから抜け出そうとしている証(順調なサイン)ですので、言い訳の内容を真に受けず、「お、ホメオスタシスが引き止めに来たな」と客観視して無視してください。
② セルフトークを強制的にコントロールする
自分自身への語りかけを意識的に管理します。
- 失敗した時: 「しまった」と思うのではなく、即座に**「私らしくない(It’s not like me)」**と言い換えます。失敗を「本来の自分ではない異常事態」として処理します。
- うまくいった時: **「さすが私だ(I’m good / It’s like me)」**と褒めます。成功している状態こそが本来の自分であると脳に刷り込みます。
- 過去を断ち切る: 過去の失敗をくよくよ考えるのは「暇つぶし」に過ぎません。コーチングでは「過去は未来に1%も関係ない」と考えますので、過去を反省する暇があったら未来のゴールの臨場感を高めることに使います,。
③ 未来側のコンフォートゾーンに臨場感を持つ
自分がドリームキラーになるのは、今の現状(コンフォートゾーン)が心地よいからです。 アファメーションやビジュアライゼーションを行い、「ゴールを達成している未来の自分」の方こそが心地よく、今の現状は「居心地が悪い」と感じるレベルまで、未来の臨場感を高めます,。 「今のままでいるほうが気持ち悪い」と感じるようになれば、自分自身が最強のドリームサポーターに変わります。
自分自身がドリームキラーになる正体は、あなたの性格の問題ではなく、脳の機能(ホメオスタシス)による「創造的な言い訳作り」です。 「やらない理由」が思い浮かんだら、それは脳が変化を恐れているサインだと見抜き、セルフトークを制御して、未来の自分に意識を向け続けてください。
2. ドリームサポーター(夢を応援する人)
ドリームサポーターとは、あなたのゴールを否定せず、「あなたならできる!」と信じ、エフィカシーを上げてくれる存在です。
絶対的な味方=「プロのコーチ」
ゴールを話してもよい唯一の例外が、プロのコーチです。 コーチは、親やパートナー以上に「何があってもクライアントの絶対的な味方」であり続けます。
- 役割: コーチの仕事は、アドバイスをすることではありません。クライアントのエフィカシー(自己評価)を徹底的に高めることです。
- 未来だけを見る: ドリームキラーが「過去」を見て判断するのに対し、コーチは「未来」にしか興味がありません。現状や過去の実績がどうであれ、「未来のあなたなら達成できて当然だ」という確信を持って接します。
- 安心ではなく不安を与えることも: コーチは単に慰める存在ではありません。あなたが現状に安住しているなら、あえて不安を与えて現状の外へ押し出し、新しい世界(アウェイ)で戦うことを促します。しかし、その挑戦の中で傷ついたり不安になったりした時には、盤石の支え(キャッチャー)となります。
あなた自身がドリームサポーターになる
コーチングを学ぶと、あなた自身が周囲の人々のドリームサポーターになることができます。 あなたがコーチ的なマインドを持ち、周囲の人のエフィカシーを上げるように接することで、周りの人々(かつてのドリームキラーたち)のコンフォートゾーンを引き上げ、結果的に彼らを味方に変えていくことも可能です。
苫米地式コーチングでは、ドリームキラー(過去の引力)を避け、ドリームサポーター(未来の引力)と共にエフィカシーを高め続けることで、現状の外側のゴールを達成していきます。
