ホメオスタシスがコーチングで大切な概念なのはなぜ?

ホメオスタシス(恒常性維持機能)がコーチングにおいて極めて重要である理由は、それが「現状(コンフォートゾーン)を維持する強力な力」であり、使い手次第で「変化を阻む最大の敵」にも「ゴール達成を自動化する最強の味方」にもなるからです。

1. 人間の脳は「情報空間」の出来事も「現実」として処理するから

ホメオスタシスは本来、体温や心拍数を一定に保つ生物学的な機能ですが、苫米地博士はこれが情報空間(脳内のイメージや想像)にも広がっていることを発見しました。

  • 想像への反応: 例えば、映画を見て涙を流したり、想像だけで梅干しの酸味を感じたりするのは、ホメオスタシスが情報空間のリアリティ(臨場感)に反応している証拠です。
  • コーチングへの応用: この性質があるため、物理的な現実を変える前に、脳内のゴールイメージ(情報空間)に強い臨場感を持たせることで、身体や無意識をコントロールすることが可能になります。

2. 「創造的回避」のメカニズムを理解しないと失敗するから

ホメオスタシスは基本的に「元に戻ろうとする機能」です。これを知らずにゴールを設定すると、コーチングは失敗します。

  • 変化への抵抗: 現状の外側にゴールを設定すると、ホメオスタシスはそれを「異常事態」と判断し、全力で現状($W_1$)に引き戻そうとします。
  • 創造的回避(Creative Avoidance): 脳は、現状を維持するために「やらない理由」や「できない言い訳」をものすごくクリエイティブに発明し始めます。これを「創造的回避」と呼びます,。
  • 失敗の理由: 多くの人が変われないのは、意志が弱いからではなく、ホメオスタシスが正常に機能して「現状維持」というゴールを達成し続けているからです。

3. 味方につければ「自動操縦」でゴールが達成されるから

コーチングの最大の目的は、この強力なエネルギーを逆利用することにあります。

  • 認識のズレを利用する: ゴール側の世界($W_2$)の臨場感を高め、そこを新しいコンフォートゾーン(安心できる場所)として脳に認識させます。すると、ホメオスタシスは逆に「今の現状($W_1$)」を「異常」だと認識し始めます,。
  • エネルギーの転換: 例えば、「自分は大富豪だ」というコンフォートゾーンを持つ人が、財布に小銭しかない現状を見ると、「泥棒に入られたような異常事態」と感じます。ホメオスタシスはこのズレ(認知的不協和)を埋めるために無意識をフル稼働させ、以前は「言い訳」に使っていた創造性を、今度は「解決策の発見」に使い始めます。
  • 自動化: その結果、努力や根性を使わなくても、ホメオスタシスが勝手に身体と脳を動かし、自動的にゴールへと向かわせるようになります,。

結論

ホメオスタシスが大切な理由は、それが人間の行動を支配する根本的なシステムだからです。

このシステムを無視すれば、どんなに素晴らしいゴールを設定しても「創造的回避」によって現状に引き戻されます。しかし、このシステムを正しく理解し、コンフォートゾーンを未来にずらすことができれば、ホメオスタシスは「ゴール達成装置」へと変わり、あなたを自動的に夢の実現へと運んでくれるのです。

たとえるなら、ホメオスタシスはエアコンのサーモスタットのようなものです。 設定温度を「現状」のままにしておけば、どんなに熱くなろうと努力しても冷やされて元に戻ります。しかし、設定温度を「ゴール」に変えてしまえば、あとはエアコン(脳と身体)が自動的にフル稼働して、その温度になるまで環境を変え続けてくれるのです。

オーセンティック・コーチング2026 ~本物のコーチング~  苫米地 英人 (著) 参照

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